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1章 はじめに


1.1 KARACRIXとは


KARACRIXは、コンピュータを計測制御装置として活用したいユーザのために、専門的なプログラ ミング知識がなくても様々なアプリケーションをユーザレベルで自由に構築できることを目指して 開発されたパーソナルオートメーションツールです。インターネットに代表される広域ネットワー クの活用も視野に入れて各種機能を設計しておりますので、小規模な計測サイトからワールドワイ ドなネットワーク監視制御システムまで、柔軟なシステム構築を可能にしています。
 

1.2 KARACRIXで扱う情報


自然界の物理情報を電気信号に変換するものをセンサといいます。また、電気エネルギーを物理 動作(回転運動、直線運動など)に変換するものをアクチュエータと呼んでいます。

KARACRIXでは、このセンサやアクチュエータなど監視したり操作するもの、つまり対象のことを オブジェクトと呼んでおり、以下のような情報をパソコンに取り込んで監視制御システムを構築す ることができます。

・スイッチのON、OFFに代表される状態情報 (デジタル情報)

・温度、湿度、気圧、照度など自然界の物理情報 (アナログ情報)

・機械を制御するためのコントロール信号 (デジタル、アナログ情報)

・CCDカメラなどからのイメージ情報 (イメージ情報)

オブジェクトのタイプには、次のものがあります。

入力オブジェクトタイプ

BI (デジタル入力)
AIi (整数型アナログ入力)
AIf (実数型アナログ入力)
IMG (動画イメージ入力)
 

出力オブジェクトタイプ

BO (デジタル出力)

プログラムオブジェクト

ctlprg (制御プログラム)
priprg (印刷プログラム)
 

※製品バージョンにより使用できないオブジェクトがあります。
 

1.3 KARACRIXの機能


KARACRIXの機能一覧を表1-1に示します。

製品バージョンによってサポートされる機能が異なりますので、ご了承下さい。 以下に各機能の概要を説明します。
 
 

表1-1 KaracrixBuilderの機能一覧

機能項目 30S 200L Pro-500R 100EB 100EG
動作環境 HDDシステム用 HDDシステム用 HDDシステム用 組み込みシステム用 組み込みシステム用
監視パネル 15枚 15枚 30枚 15枚 15枚
監視パネルCAD

(静部品:12種類)
(動部品:  7種類)

(静部品:13種類)
(動部品:15種類)

(静部品:13種類)
(動部品:15種類)

(静部品:13種類)
(動部品:15種類)

(静部品:13種類)
(動部品:15種類)
制御プログラム 10本 10本 20本 10本 10本
スケジュール起動
Bio -> 20個
Aif -> 20個
ctlprg -> 10個

Bio -> 20個
Aif -> 20個
ctlprg -> 10個
Bio -> 20個
Aii -> 20個
Aif -> 20個
ctlprg -> 20個
priprg -> 20個
Bio -> 20個
Aii -> 20個
Aif -> 20個
ctlprg -> 10個
Bio -> 20個
Aii -> 20個
Aif -> 20個
ctlprg -> 10個
短期トレンドグラフ 10枚 10枚 20枚 10枚 10枚
インターバル記録 932点 932点 1864点 932点 932点
長期トレンドグラフ
印刷フォームCAD 20枚
印刷プログラム 20枚
タイムサービス 20本
Web監視
Eメール監視
Eメールアラーム発信
画像記録 エンドレス 24時間 24時間 168時間 168時間
ワンウェイ 20000枚 20000枚 100000枚 100000枚
管理オブジェクト数 30
 

Bi -> 12個
Bo -> 5個
Aif -> 12個
Img -> 1個


200

Bi -> 80個
Bo -> 38個
Aii -> 40個
Aif -> 40個
Img -> 2個
 

500

Bi -> 200個
Bo -> 96個
Aii -> 100個
Aif -> 100個
Img -> 4個

100

Bi -> 40個
Bo -> 20個
Aii -> 19個
Aif -> 19個
Img -> 2個

100

Bi -> 40個
Bo -> 20個
Aii -> 19個
Aif -> 19個
Img -> 2個


 

(1)監視パネル

センサ、アクチュエータなどのオブジェクトを、グラフィカルユーザインタフェィス(GUI)か らリモートで監視・操作することができます。GUIによりシステムを視覚的に分かり易く運用する ことができます。

図1-1 監視パネル

(2)監視パネル作成CAD

監視パネルをユーザ自身で作成・編集することができます。CADで扱う部品としては、オブジェ クトの操作、表示を関連付ける動的部品と、視認性を高めるための補助的な表示要素である静的部 品から構成されています。

図1-2 監視パネル作成CAD

(3)短期トレンドグラフ/トレンドグラフ

オブジェクトのデータを計測しながら同時に8オブジェクトまでグラフ表示することができます。 データはテンポラリファイル(テキスト形式)として保存することができ、後で再描画するとも可 能です。

データのサンプリング周期は1〜3600秒の間で自由に設定することができます。

図1ー3 トレンドグラフ

(4)制御プログラム

各種計測制御アプリケーションをユーザレベルで構築するための開発環境が標準で搭載されてい ます。また開発したアプリケーションの実行管理をおこなうことができます。またプログラムから コントロールできるものは、各種センサ、アクチュエータ及び計測制御プログラムそれ自身もコン トロールの対象になります。プログラムはC言語で作成しますが、ユーザアプリケーションインタ フェイスとして、各種センサやアクチュエータをオブジェクトとして扱う制御ライブラリをご用意 しています。

更に、プログラムをデバッグするための簡易ラインデバッガが付属していますので、作成したプ ログラムの動作確認や簡単なデバッグを行うことができます。

図1-4 制御プログラム

(5)スケジュール起動

各種機器のスケジュール運転を用途に応じて柔軟に設定することができます。年間カレンダーの 設定で基本的な運転スケジュールを設定します。イベント的な運転スケジュールの変更も可能です。

図1-5 スケジュール設定

(6)印刷書式作成CAD (KaracrixBuilderPro-500R)

(7)印刷プログラム作成 (KaracrixBuilderPro-500R)

実験レポートや報告書等を作成する機能です。帳票等のフォーマットを作成する印刷CADと、 フォーマットを合成・出力する印刷プログラムを連携させることにより、PostScript形式で各種 印刷物をプリントアウトすることができます。この機能により、計測データの日報・月報等を自動 作成し定時に自動印刷するようなことも簡単に行えます。

        

図1-6 印刷フォーマット作成                                 図1-7 印刷プログラム作成









(8)インターバル記録 (KaracrixBuilderPro-500R、-100EG)
(9)長期トレンドグラフ (KaracrixBuilderPro-500R、-100EG)

インターバル記録は、オブジェクトのデータを一定のサンプリング周期でログファイルとして記 録保存することができ、他のアプリケーション・ソフトで利用することも可能です。

保存されたログファイルは、長期トレンドグラフでグラフ表示して解析をすることができます。

        

図1-8 インターバル記録設定                                   図1-9 長期トレンドグラフ

(10)エンドレス画像記録機能

ビデオキャプチャカード経由で取得したカメラ画像をJPEG圧縮して保存、蓄積することができ ます。蓄積された画像データは、デジタル画像ビューワで検索、再生することができます。

画像データのサンプリング周期は1〜3600秒の間で自由に設定することができ、1秒サンプリン グで最大168時間(KaracrixBuilderPro-500R)までの期間をエンドレスで記録できます。HDD上にデジタルファイ ルとして記録するため、タイムラプスビデオのようにテープ交換が不要です。

※ワンウェイ画像記録との併用はできません。

図1-10 エンドレス画像記録

(11)ワンウェイ画像記録機能

定期的に取得したカメラ画像をJPEG圧縮して保存、蓄積することができます。蓄積された画像 データは、デジタル画像ビューワで検索、再生することができます。

画像データを自動でサンプリングする時の周期は1〜3600秒の間で自由に設定することができ、 プログラムからイベントを監視しながら記録するなど、最大100000枚(KaracrixBuilderPro-500R)の画像を記録 できます。 この記録方法を活用して、植物などの生育の長期記録などを行なうことができます。

※エンドレス画像記録との併用はできません。

図1-11 ワンウェイ画像記録

(12)タイムサービス機能 (KaracrixBuilderPro-500R)

タイムサービスでは、システム管理データ、各種オブジェクトのログデータ等の定期的なバック アップ、リストア、記録データファイルの削除などの作業を自動的に行なうための機能を提供して います。

図1-12 タイムサービス

(13)Web監視制御機能

Webブラウザからアクセスすることによりセンサ、アクチュエータ、カメラ画像や、トレンドグ ラフの状態を取得することができます。また、各種機器のON、OFFやパラメータの設定をブラウザ から行うことができます。

図1-13 Webブラウザ監視制御

(14)Eメール監視制御機能

Eメールに取得したいオブジェクトの情報を記述して送信することによりセンサ、アクチュエー タの状態を返信メールとして取得することができます。監視パネル画像やトレンドグラフは添付 ファイルとして取得できます。また、同様に操作したいオブジェクトを指定したメールを送信する ことで、各種機器をEメールで遠隔操作することができます。

図1-14 Eメール監視制御



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