レポート作成システムは、レポートフォーム作成CAD機能(印刷CAD)とプログラム印刷機能(印 刷プログラム)より構成されています。レポートフォーム作成CADとプログラム印刷を組み合わせ ることで多彩なドキュメント作成を行なうことが可能です。これは、レポートフォーム作成CADで 作成した複数のフォームデータを、プログラム印刷部で合成させることができるためです。
さらに、各種データファイルやデータベースをアクセスしながら、処理データをドキュメント出 力するなど、ダイナミックなドキュメント作成も可能です。
作成されたドキュメントは、PostScript(Level2以上)プリンタなどでカラー印刷することがで きます。(「2.7 印刷環境の設定」を参照)
KARACRIXでの印刷物作成においては、大きく分けて次の2つの作業に分けることができます。
(1) 印刷フォーマットの作成
印刷物のフォーマット形式(用紙上のデータの出力位置や、その他さまざまな文字、図形、表な ど)を、専用の「印刷CAD」で作成します。
図15-1 印刷CAD
(2) 印刷プログラムの作成
(1)で作成した印刷フォーマットに、各種オブジェクトのリアルタイムデータやデータベースな どからアクセスしたデータを合成してプリンタに出力するプログラムを作成します。
印刷プログラムの作成については、「10章 印刷プログラム」を参照して下さい。
図15-2 印刷プログラムの編集
本章では(1)の印刷フォーマット作成で使用する、印刷CADについて説明します。
印刷CADの画面構成は監視パネルCADに非常によく似ています。操作方法は基本的には同じです。 CADの全ての機能は主メニュー上(「14章 監視パネルの作成」 図14-1参照)に配置されています。
主メニューの描画1および2、Prg原点、編集、描画環境、操作環境を選択すると更に副メニュー が表示されます。メニューの機能は表15-1のようになります。
図15-3 印刷CAD画面構成
(2) 印刷CADの機能
印刷CADの使い方は、基本的には監視パネルCADと同様です。監視パネルCADでは静部品と動部 品の2種類を扱いましたが、印刷CADでは図形描画要素としての 部品とプログラム原点の2種類を 扱います。
描画部品には、監視パネルと同様、直線・連続線・垂直線・水平線・四角形・多角形・正多角形・ 円形・楕円形・円弧・文字・BITMAP・表があり、それに加えて文字枠が使用できます(表15-1参 照)。
プログラム原点とは印刷物上に表示されるデータ表示点のことです。プログラム原点位置はそれ ぞれ固有の名称(原点名)を持っており、印刷プログラム(10章参照)でプログラムを作成し、表 示データを出力印刷することができます。このプログラム原点には単独形式の 点原点と、マトリクス形式の表原点 の2種類があります。
表15-1 メニューの内容
メインメニューから「印刷フォーマット」を選択して「印刷フォーマット登録」を開きます。こ の中で、任意の位置(空いているところ)にフォーマット名称をつけます。「用紙」欄はデフォル トで「A4・たて」が選択されています。この項目はこの画面では変更できません。「印刷CAD」で 行います。なお、「書式コード」欄はユーザーが変更することができません。
フォーマット名称の登録後、同リスト上のCAD編集欄をクリックすると印刷CAD画面が表示され ます。
図15-4 フォーマット名の登録
(2) 用紙の設定
まずはじめに印刷フォームの用紙サイズを選択します。主メニューの「操作環境」ボタンを押し、 副メニューの「書式」ボタンを押すと印刷環境設定画面が表示されます。
用紙サイズと用紙方向を設定します。使用可能な用紙サイズはA3・A4・B4・B5です。
図15-5 用紙の設定
(1) 操作環境設定
操作に関する環境の設定を行います。
主メニューの「操作環境」を選択し、副メニューの「操作編集」を選択して「操作環境設定」画 面を表示します。設定内容は監視パネルCADと同じですので、「14章 14.4(1)」をご覧ください。
図15-6 操作環境の設定
(2) グリッド設定
グリッドの表示の有無や、グリッド間隔の設定を行います。
主メニューの「操作環境」を選択し、副メニューの「グリッド」を選択して「グリッド設定」画 面を表示します。設定内容は監視パネルCADと同じですので、「14章 14.4(2)」をご覧ください。
図15-7 グリッド設定
(3) 印刷環境設定
キャンバスを印刷するときの印刷環境(印刷のデフォルト値)の設定を行います。
主メニューの「操作環境」を選択し、副メニューの「印刷」を選択して「印刷環境設定」画面を 表示します。設定内容は監視パネルCADと同じですので、「14章 14.4(3)」をご覧ください。
図15-8 印刷環境の設定
(4) レイヤの設定
キャンバス上の描画レイヤおよび表示レイヤの設定をします。
主メニュー中の「操作環境」を選択し、副メニューの「レイヤ」を選択して「レイヤ設定」画面 を表示します。設定内容は監視パネルCADと同じですので、「14章 14.4(4)」をご覧ください。
図15-9 レイヤの表示
(5) 書式の設定
作成する印刷フォームの用紙の書式を設定します。使用できる用紙サイズは、A3・A4・B4・B5の4 種類で、方向は縦・横どちらでも可能です。
主メニューの中の「操作環境」を選択し、副メニューの「書式」を選択して「書式設定」画面を 表示します。
図15-10 書式設定
次の項目について設定します。
@「用紙サイズ」に印刷物の用紙サイズを指定します。
A「用紙方向」に印刷物の用紙方向を指定します。
B設定内容に誤りがなければENDを押して終了します。
(6) 線属性
描画部品の直線や連続線などの線属性のデフォルト値を設定します。
主メニューの「描画環境」を選択し副メニューの「線」を選択して「線属性」画面を表示します。
設定内容は監視パネルCADと同じですので、「14章 14.4(5)」をご覧ください。
図15-11 線属性
(7) 文字属性
描画部品で文字の文字属性のデフォルト値を設定します。
主メニューの「描画環境」を選択し副メニューの「文字」を選択して「文字属性」画面を表示し ます。
設定内容は監視パネルCADと同じですので、「14章 14.4(6)」をご覧ください。
図15-12 文字属性
(8) 塗り属性
塗りつぶしができる描画部品の塗りつぶしの属性のデフォルト値を設定します。
主メニューの「描画環境」を選択し副メニューの「塗り」を選択して「塗り属性」画面を表示し ます。
設定内容は監視パネルCADと同じですので、「14章 14.4(7)」をご覧ください。
図15-13 塗り属性の設定
(9) 正多角形属性
正多角形部品の角数のデフォルトを指定します。
主メニューの「描画環境」を選択し副メニューの「塗り」を選択して「塗り属性」画面を表示し ます。
設定内容は監視パネルCADと同じですので、「14章 14.4(8)」をご覧ください。
図15-14 正多角形属性の設定
ただし、印刷CADでは各ダイアログ中に表示される 単位が[dot]ではなく[mm]となります。
(1)文字枠
複数行の文字列を配置することができる枠を作成します。文字列はエディタ入力(「文字入力」ダ イアログ)またはテキストファイルからの入力が可能です。
主メニューの「描画B」ボタンを押し、副メニューの「文字枠」ボタンを押すと「文字入力」ダ イアログを表示します。
図15-15 文字枠の説明
図15-16 文字枠入力画面
次の項目を設定します。
@始点と終点を設定して文字枠の大きさと位置を決定します。
A文字入力欄で、「エディタ入力」と「ファイル入力」のどちらかを選択します。
エディタ入力の場合
B編集欄をクリックすると「文字入力」ダイアログを表示します。ここで文字列を入力して登録し ます。
ファイル入力の場合
B読み込みたいテキストファイルを任意のファイル名で以下のディレクトリに作っておきます。 「ファイル選択」欄をクリックすると「選択」ダイアログが表示されます。この中から読み込む ファイルを選択します。
$KARACRIXTYPE/usr/ufile/*.txt
C「編集」欄に文字枠に入る文字列が表示されます(長い場合は一部が表示されます)。
D「属性情報」欄の枠・文字・線・塗りの各属性を設定します。
プログラム原点には点原点と表原点 の2つがあります。原点名はP0〜P127の128個が予約され ており、作成した原点には原点名としてこの中から選択して割り付ける必要があります。
図15-17のレポートでは右上の日付表示用に点原点が1つ、記録データ表示用と集計エリア用に 表原点が3つ使われています。
図15-17 プログラム原点の設定例
●点原点とは
点原点は、単独のデータ表示点です。印刷プログラムからは、原点名を指定することによりデー タ表示処理を行なうことができます。
●表原点とは
表原点は、表形式のデータ表示ポイントを持つ原点要素です。印刷プログラムからは、1次元ま たは、2次元の配列要素として扱うことができますので、プログラム作成の効率を検討して使用す ることが必要です。
●点原点の登録
主メニューの「Prg原点」を選択し、副メニューの「点原点」を選択して、「点原点」画面を表 示します。
図15-18 点原点画面
次の項目を設定します。
@原点(座標)を登録します。
A原点名を登録します。
B文字属性情報で、点原点に表示するフォントを定義します。
表示例は以下のようになります。
図15-19 点原点の表示例
●表原点の登録
主メニューの「Prg原点」を選択し、副メニューの「表原点」を選択して、「表原点」画面を表 示します。
図15-20 表原点画面
次の項目を登録します。
@原点(座標)を登録します。
A原点名を登録します。
B原点ピッチを登録します。原点ピッチとはマトリクス(行列)状に表示される原点のX(横)方 向およびY方向の間隔です。
C文字属性情報で、表原点に表示するフォントを定義します。
表示例は以下のようになります。
図15-21 表原点の表示例
部品の編集方法は監視パネルCADと同様です、「14章 監視パネルの作成」を参照して下さい。
※注意
“プログラム原点”を複写して複製した場合、原点名が同じ物が作成されることになりますが、印
刷プログラムで識別することが出来なくなりますので、“変更”機能で選択して
必ず新たな原点名を割付けて下さい。原点名の重複が無いようにご注意下さい。
キャンバスの表示倍率は全体図・1倍図・2倍図・4倍図の4段階の4段階で行うことができます。 特に小さい部品などはキャンバスを大きな倍率にして描画するほうが便利です。ここで1倍図のと きは、各用紙設定での用紙幅がキャンバスの横幅になります。
表示倍率を変更するには主メニューの「全体図」「1倍図」「2倍図」「4倍図」のいずれかを選 択します。
図15-22 1倍図表示 図15-23 4倍図表示
(2)全体のイメージを確認しながら印刷物を作成する
キャンバスを4倍図などの大きな倍率で編集しているときなど、印刷物全体のイメージが掴みに くくなる場合があります。そのような場合は、全体表示の機能を使うと非常に便利です。
全体表示を行うと、下図のようにキャンバスとは独立した別の画面に印刷物全体のイメージが表 示したまま編集ができる機能です。全体のイメージには、キャンバス上で表示されている領域が赤 の枠で囲まれて表示されます。
全体表示を行うには主メニューの「望遠」を選択します。
図15-24 全体表示
(3)グリッドを表示する
キャンバス上に描画するときの目安になるグリッドの表示を行うことができます。グリッドの間 隔も2通り設定しておくことができます。
グリッドを表示・設定するには、主メニューの「操作環境」を選択し、副メニューから「グリッ ド」を選択します。
(4) 部品やプログラム原点の位置をグリッド上に丸める
主メニューの「丸め」「非丸め」ボタンを押すことにより、それぞれ描画位置がグリッド上に合 わせたり、合わせないようにしたりすることができます。
(5) プログラム原点の一覧を表示する
主メニューの「Prg原点」ボタンを押して、副メニュー中の「原点一覧」ボタンを押すと「原点 リスト」ウィンドウを表示します。
図15-25 原点リストの表示
原点リストの欄は次の内容を表示します。
@原点名を表示します。
A原点座標を表示します。左がX座標、右がY座標です。
Bブロック数を表示します。左がX方向、右がY方向の数です。
C使用するフォントのフォント名とフォントサイズ(左が幅、右が高さ)を表示します。
(6)キャンバスの印刷
主メニューの「印刷」ボタンを押すと「印刷出力設定」ウィンドウを表示します。印刷部数・印 字倍率・原点印刷・用紙サイズ・用紙方向を確認して「印刷」ボタンを押すとキャンバスを印刷を します。
原点印刷を「しない」に選択するとキャンバス上に原点があっても印刷されません。
(7)キャンバスの再表示
主メニューの「再表示」ボタンを押すと、キャンバスを再描画します。